今回はその続編としまして、2日目、北岳山荘から北岳山頂を経由し下山するまでの行程をご紹介させていただきます。前回同様、いつもとチョット角度を変えた「北岳山頂情報~北岳山荘から ~」をお楽しみください。
【南アルプスへの道 ~Mt KITAを目指して ~ 】
『登山計画書』 10月17日(金)18日(土)
1日目 ①芦安地区臨時駐車場 ⇒ ②広河原 ⇒ ③広河原山荘 ⇒ ④大樺沢
⇒ ⑤二俣 ⇒ ⑥上部二俣 ⇒ ⑦ 八本歯ノコル ⇒ ⑧北岳山荘 ⇒ ⑨中白根
⇒ ⑩北岳山荘(宿泊)
【1日目の紹介 「★南アルプスへの道★~Mt Kitaを目指して ◆前編◆」はこちらです。】
2日目 ⑪北岳山荘 ⇒ ⑫北岳山頂 ⇒ ⑬肩の小屋 ⇒ ⑭小太郎分岐
⇒ ⑮御池分岐 ⇒ ⑯御池小屋 ⇒ ⑰広河原山荘 ⇒ ⑱広河原
⇒ ⑲芦安地区臨時駐車場
10月18日(土)早朝、5時ちょっと前、前日にセットした腕時計のアラームはまだ鳴っていない。「やったぁー勝ったぁ!」日常の生活では連敗中の目覚ましに今日は勝った。私の大勝利!!。しばらく勝利の余韻に浸りつつ、そろそろ始動開始と思った矢先、後輩の声がした。目を開けると、ニコニコ顔の後輩が、挨拶がてらの一声「雲海に浮かぶ富士山が見えます!!」異常なテンションの高さである。「早く見に行きましょう!!」後輩の声に促されるように体を起こす・・・「俺の方が早く起きてたのに・・・」目覚ましへの大勝利と後輩への敗北感が混沌とする中、いよいよ山頂を目指す2日目がスタート。「今日も良い天気でありますように」と願いも込めて。
今日の日の出は5時30分、朝食は6時からなので、防寒着とヘットライトを装着し山荘の外へ、昨日の夕方とはうって変っての無風状態。まだ、日の出ではないが、富士山が雲の上に顔を覗かしているのが肉眼でもよく分かる。眼下に広がるはずの夜景はうっすら浮かび上がり、黎明の空は果てなく続く宇宙をも感じられるほど幻想的。残念ながら南アルプス市街地から北岳を望める場所は限られているので、この光の集合体は中央市・市川三郷町と思われる。
この幻想的な風景を目の前に「何も言えね~」と目を細め、ひと目で感動していると明らかな後輩。・・・「自分に酔いしれてるなぁ」と冷ややかな視線をおくり、特に返答せず。だって俺のが早く起きたもん!!
朝焼けに染まる富士山と北岳を写真に撮ろうと0℃近い外で頑張って待っていましたが、太陽が昇る場所に雲が厚くかかっており、普通に日が昇ってしまった。「後輩と一緒に素直に感動を分かち合わなかったからかな!?」っと心の狭さを悔いながら・・・。気持ちを切り替え・・・「朝飯ターイム!!」
◆ 雲海に浮かぶ 夜明けの富士山 ◆ 日の出を待つ北岳と八本歯
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◆ 晴天を告げる陽光に照らされる富士山 ◆ 今からあの山頂を目指します!!
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太陽の光が降り注ぐ山荘の食堂で朝食を済ませ、部屋でザックの中身を整える。
昨日の登りで飲料水を1リットル吸水してしまったので、山荘から購入した北岳の水と持参したポカリスエットの粉末を混ぜ特性北岳ドリンクを作り、そして、アミノバイタルを一袋。
トイレを済ませて「さぁ出発だ!!」 お世話になった北岳山荘の管理人さんにお礼を言い外へ出ると・・・ な、なんと、天気最高!北岳には雲一つもなし!!我ながら自分の晴れ男ぶりに感心、職場のとってもお世話になっている先輩から【晴れ男POWER】をもらってきたかいがありました。まさかこの北岳でも先輩のお世話になるとは・・・。
ふと富士山の方を見ると雲海の白色と空の青色の接点にまるで地平線のような水平に延びる線が見える。あれは何だ??各々の解釈・見解・疑問を口にしつつ答えは出ませんでした。なんなんでしょう?(後で知り合いから聞いたことですが、この水平に延びる線は、線より上が非常に寒く線より下が暖かく、この真ん中ではか気流の変化がおこり帯状に見えるとのこと・・・?もっと詳しく知りたかったのでインターネットで検索したがヒットせず。なにせこの現象の名前を知らないので・・・)
◆ 自然現象について語り合う3人と富士山 ◆ 3人の到着を静かに待つ 北岳
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富士山・北岳の絶景を楽しみながら、ストレッチを入念に、「いざ山頂へ」。 尾根沿いを登り、北斜面へ回り込み、岩場を這い上がり山頂を目指す。さすがに3,000mになると息苦しく感じられ、呼吸を整え、周りを見渡す回数が増えてきます。出発前に防寒対策で着ていたレインウェアーを脱ぎ、汗を拭くため足を止める。そんな行動を何回繰り返しただろう?登ってきた方向をみると、宿泊した北岳山荘がとっても小さく、白く雪をかぶった間ノ岳は荒々しく見える。「中白根で出会った雪夫(雪だるま:【分からない方は前編をごらんください。】は元気かな」と思い出しながら、北岳山頂へ。
◆ いよいよ北岳山頂へアタック開始 ◆あせらず慎重にゆっくりゆっくり。山頂までもう少し。
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◆ 間ノ岳と小さく見える北岳山荘 ◆ 日本NO2 北岳山頂(標高3,193.2m)
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山頂へ到着。この日は本当に天気がよく、山頂は360度の大パノラマ。「仙丈ヶ岳(3032.7m)」あり「甲斐駒ヶ岳(2,967m)」あり「鳳凰三山(薬師岳:2,780m 観音岳:2840.4m 地蔵ヶ岳:2,764m)」ありと大出血サービスです。そんな周囲の山々も絶景でしたが、やはり、日本一の山「富士山」の存在感と綺麗さは別格、筆舌しがたいとはこのことです。本当に心打たれます!!普段見上げる富士山もそれぞれの地域で素晴らしい表情を見せ、日本人の心ばかりでなく、世界中の人々の心に感動を与えています。まさにWORLD基準の魅力です。平地で見せる魅力ですら多くの人々を虜にしている富士山。でも今日は・・・目線と同位置にある富士山・・・日本で二番目に高い山から日本一を眺める。なんて贅沢なのでしょう!!数分間の「感無量」そして・・・「うぉぉぉぉぉ~ぉ!」おもわず山頂から富士山へ向かって叫んでいました。「富士登山もいい!でも北岳山頂から見る富士山はもっといい!!」
ちなみに、北岳の標高が3,192.4mから80センチ高くなったことはご存知ですか?「富士山へ万歳している男」の足元が標高3,193.2mです。
☆ CHECK POINT ☆
北岳山荘から山頂までの標準タイムは1時間20分。
特に尾根を登る際には強風・突風に注意すること。
あまりにも強い風が吹く日には、迂回や下山を行い安全な登山を心がけましょう。
◆ 北岳からの富士山と喜びを共に。 ◆ 北岳山頂から望む南アルプスの女王(仙丈ヶ岳)
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◆ 北岳山頂からの甲斐駒ヶ岳 ◆ 北岳山頂からの鳳凰三山
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◆ 北岳山頂から肩の小屋へ ◆ 肩の小屋へ到着。
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目的達成の「安堵感」が「満足感」を超えないうちに、下山準備を促す、「まだ、帰り道がある。俺はこのパティーのリーダーだから気を引き締めないと」気分を「下山モード」に切り替え、山頂から仙丈ケ岳・甲斐駒ケ岳を見ながら下山を開始。登りより下りの方が緊張度が増すのは私だけではないはずです。足場を確認しながらゆっくりゆっくり確実に歩を進めます。「みんな大丈夫かな?」休憩をはさみながら登山道を行く。やがて、青い屋根の肩の小屋が徐々に見えてくる。屋根には布団が干してあり、従業員の方々が雪害対策&小屋閉めに向け、ペンキを塗り直していました。 肩の小屋は半年の間、雪の中へ埋まってしまいます。雪が塗料を溶かしトタンを浸食してしまうので、雪害対策としてペンキを塗り直しするそうです。
◆ 「ダケカンバ」の樹林帯 ◆ 秋の「草すべり」の様子
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小太郎尾根を少し降りた場所からダケカンバの樹林が広がる。多くのダケカンバの幹が曲がっており、幹が地を這ってから空へ向けて伸びている。冬には雪が数メートル以上積もり、重さでダケカンバが曲がってしまう。春の雪解けを忍耐強く待ち葉を付ける。こんな説明を後輩にしたら、「見習った方がいいよ」との返し・・・ 「なにも言えね~」。俺の方が早く起きたのに・・・。
そして、草すべりを降ると紅葉に染まる御池の水面が見えてきた。「グッ」と来るものがあった。なぜか、「♪風の谷のナァウシィカァ~♪」を口ずさんでしまった。安田成美のデビュー曲。今は、とんねるず 木梨憲武の奥さん!!そんな細かい情報をなぜ!?今?・・・ 昨日よる山荘で「ナウシカ」の本を見たからに違いない。
☆ CHECK POINT ☆
山頂~北岳肩の小屋~白根御池小屋までの標準タイムは2時間20分。
山頂からの肩の小屋への下りは 急な下り箇所がありますので慎重に。
【白根御池小屋(草すべり)・大樺沢】への分岐地点頃からダケカンバの樹林が現れ
登山道は樹木の根で階段になっているので足元を注して下山しましょう。
白根御池小屋到着。同じく白根御池小屋でも従業員の方々が雪害対策に向けて、雪が付きやすい部分のペンキを塗り直していました。ここらで、メンバーのお腹がすいたので昼食タイム。 白根御池小屋は平成11年に雪崩で倒壊した後、仮設のプレハブで営業していましたが、平成16年から新築工事を行い平成17年10月に完成し、平成18年6月から新築オープンしました。
☆ CHECK POINT ☆
白根御池小屋から広河原山荘までの標準タイムは2時間5分。
周囲は針葉樹林に変り、登山道は急勾配でハシゴが数箇所設置してあります。
また、樹木の根が地表にむき出しており、自然の階段のようになっています。
非常に滑りますので足元に注して下山しましょう。
登山の事故の多くは下りで起きています。気の緩みや疲労によって起こることが主な原因です。
対処方法をあげると、「前日に睡眠をよく取る・荷物をコンパクトにまとめる・ストック、サポーターを
使う」などを行い安全に最後まで集中して降りましょう。
◆ 白根御池小屋に到着。 ◆ 本日の昼食です。
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◆ 針葉樹林に囲まれた登山道。 ◆ 急な下りは細心の注意が必要です。
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広河原山荘到着。今回は晴天に恵まれ、「紅葉・高山植物・富士山・雪・夜景・星空」などに出会えた最高の1泊2日でした。自分事ですが、登山初体験のメンバーがいましたので、ペース配分や休憩などを考えて登山を行い、楽しく無事に登山が出来るように心がけていたので、広河原山荘に着いたら「ハイタッチ」を二人に求めていました。無事に何事もなく、3人で帰ってこれたことが、この登山のリーダーとして、なにより最高の出来事でした。
最後に、このブログを見られた方々が行かれる日が「最高の登山」となるようにと心より祈っています。 では。
あ?!っと、広河原から乗合タクシーで芦安駐車場へ行き、金山沢温泉で汗を流し無事帰宅。帰るまでが旅といいますので・・・ ではでは。
◆ 吊橋の揺れがなぜか懐かしく感じます。 ◆ 乗り合いタクシーで夢気分から現実へ・・・
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「前編」「後編」と2回に分けてお届けしました「★南アルプスへの道★ ~ Mt Kitaを目指して~」はいかがだったでしょうか?このブログより、登山の楽しさ、南アルプス 北岳の素晴らしさが少しでも山を愛している方、今から愛すかもしれない方、愛す予定はない方・・・・ 多くの方に伝わればいいなぁと思います。